アフリカーナーは南ア国民ではない? 飛ぶ火炎瓶、燃えるタイヤ 新学年初日の学校で

新学年の初日に、学校の正門前でタイヤが燃やされて、火炎瓶が飛び交っていたらどんな気分になるでしょうか。

南アフリカのVereenigingにある公立学校Hoërskool Overvaalの学生は今、大変なストレスを抱えていることと思います。

与党ANCと野党EFFの支持者、さらにはCongress of South African Students(Cosas)のメンバーらが、学校の前で朝から晩まで抗議行動を展開しているのです。

デモや座り込み、シュプレヒコールに留まらず、タイヤを燃やす、挙句の果てには警察車両に火炎瓶を投げ込むなど、もうやりたい放題です。

一体なぜこんなことになってしまったのか……。

学生55人の入学を巡る争い 最終的には法定闘争に

騒動の発端は、アフリカーンス語で授業が行われるHoërskool Overvaalに対して、Gauteng州の教育当局が55人の英語を母語とする学生受入を要請したことです。この受入にはアフリカーンスの単一言語から英語とのバイリンガル学校への移行が必要のため、教育当局は先生や備品の提供を申し出ました。

Hoërskool OvervaalのSchool Governing Bodyは要請が急だったこと、また、バイリンガルに移行するキャパシティがないことを理由にこれを拒否。最終席に法廷闘争にまで持ち込まれ、Pretoria高裁は学校側の言い分を認めました。

この判決に激怒したのが、H&M襲撃でも知られる野党EFFと与党ANC。「我々の子どもが教育を受ける権利を剥奪するのは許さん」「アフリカーナーによる人種差別(raicism)だ」と、17日の新学年開始から学校前に陣取り、やりたい放題を繰り広げています。

アフリカーナー弾圧を目的とした謀略の可能性も?

ところで、なぜ英語を母語とする学生をわざわざアフリカーンス語の学校に入学させる必要があるのでしょうか。地域に英語の学校はないのでしょうか。実は、これが大変きな臭いところです。

Pretoria高裁は判決に際して、「地域の英語で運営される学校2校の校長は、当初55名の学生を受け入れる事が可能と述べていた。しかし、教育当局からの圧力によって、この見解を曲げることを迫られた可能性が高い」としています。

裁判所が暗に、「アフリカーンスを狙った謀略の可能性がある」と述べたようなものです。実際に、55名の英語を母語とする学生は英語で運営される2校に通学することになりました。

南アフリカは、再び分断への道を歩むのか

EFFとANCの支持者らは、「我々の子ども」が教育を受ける権利を剥奪するな、と述べて抗議行動を行っています。

タイヤが燃やされ、火炎瓶が飛び交う環境で、Hoërskool Overvaalの学生たちが安心して教育を受けられる訳がありませんが、このEFFとANCの支持者らは、アフリカーンス語を話す子どもの教育を受ける権利を認めないようです(なお、学校には黒人の学生も通学していることが確認されています)。

そして、残念ながらEFF、ANCの両党からこの抗議行動を止めるような強い要請は今のところ見られません。かろうじてバランスを保っていた南アフリカは、再び人種によって深く分断された国へと逆戻りしてしまうのでしょうか。

僕自身、アフリカーナー関連でイヤな思いをしたことはあります。でも、それは個々人に問題があったという話。今回の一件に関してはHoërskool Overvaalを支持します。

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