今、南アフリカであるニュースが話題になっています。
それは「白人と黒人が分離された人種差別トイレの存在が発覚発した」というもの。アパルトヘイトの撤廃から20年目という節目の年に本当にそんなことがありえるのか……と思って記事に目を通してみると、なんと事件は自宅の近所で起きているらしいのです。
複数の記事によると、リンポポ(Limpopo)州ルイ・トリハート(Louis Trchardt)のとある商業ビルに設置された4つのトイレは「白人男」「白人女」「黒人男」「黒人女」に割り割り当てられ、常に鍵がかけられている。使用する時にはビルを管理している白人女性に鍵を借りる必要がある、という状況なんだとか。
●Business park owner: Segregated toilets not true
http://www.news24.com/SouthAfrica/News/Business-park-owner-Segregated-toilets-not-true-20141105
“There are four toilets in this building. One is for black females, one for black males, one for white and coloured females, and the last one is used by one white male,” a businessman, who did not want to be named, was quoted as saying.
“The toilets are always locked and before we can use them we have to ask for the keys from the white lady managing the building.”
確かに、この街には今なお人種差別意識を持ち続けている人が少なからずいます。僕も「これは人種差別では?」と感じさせられた経験を持っています。
ゲストハウスで
僕が予約に行ったら快諾されたが、黒人の知人が泊まる旨を伝えた所「ちょっと待ってね」と一旦待たされた後に、「やっぱり満室だったわ。ごめんなさいね」と言われた。ちらりと見えた予約台帳は真っ白。
パブで
黒人の同僚と飲んでいたら、黒人の同僚が突然現れた中年男性から人種差別的な言葉を含む暴言を浴びせられた。居合わせた白人の友人曰く「暴言の中でも最低の部類に入る」とのこと。
車の整備工場で
過去に実績のある修理を依頼したにもかかわらず「うちではできないね」と断られた。引き受けてもらった際は、白人の友人が流暢なアフリカーンス語で依頼をしており、断られた際は僕と妻のみで訪問した。
もちろんこういう人は少数派でしょうが、こうした個人的な経験から「この街ならありえる話だな」と感じてしまうのはとても残念なことです。
ちなみにその後の報道によると、南アフリカ人権委員会(South Africa Human Rights Commission)が調査に入り、「人種差別トイレ」が事実であったことを確認したとのこと。
●Segregated toilets claims true – SAHRC
http://www.iol.co.za/news/south-africa/limpopo/segregated-toilets-claims-true-sahrc-1.1776371#.VFybFPSUf_o
ネルソン・マンデラ元大統領が理想として掲げた「虹の国」の実現までにはまだまだ時間がかかりそうです。
私たちは1つの契約を結んだ。黒人も白人も、全ての南アフリカ人が胸を張って歩くことができ、何かを恐れることなく、人間の尊厳を決して奪われることのない社会――国内外とも平和に包まれた虹の国を築こうという契約だ。
(ネルソン・マンデラ氏 大統領就任演説にて)
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