本格的な冬を迎えた南アフリカは今、新型コロナのいわゆる第3波に襲われています。特にヨハネスブルグとプレトリアを含む、Gauteng州の状況が深刻です。
6月上旬の時点では2000件だった7日間の平均新規感染件数は、6月18日の時点で6000件を超える水準に。グラフが示す通り、第1波、第2波の感染拡大ピーク時よりも悪い状況です。
Gauteng Update
GP average moves past 6000 now. It was just under 2000 at the start of June so massive increase since the start of the month. pic.twitter.com/Kc9gG2ULRu
— sugan naidoo (@sugan2503) June 18, 2021
ロックダウン規制レベルを相次いで引き上げるも、感染拡大は止まらず
まず、ここ最近の動きをざっくりとおさらいしておきます。
- 5月14日 Gauteng州知事が第3波入りを宣言
- 5月30日 Ramaphosa大統領が国民に向けて演説、ロックダウンレベル2の内容見直しを発表
- 6月16日 Ramaphosa大統領が再び国民に向けて演説、ロックダウンレベル3への規制強化を発表
- 6月19日 24時間の新規感染件数が1万3575件を記録。うちGauteng州は過去最高の8414件
- 6月20日 24時間の新規感染件数が1万3155件を記録。総新規感染件数中8646件がGauteng州で、前日に記録した過去最高記録を1日で更新
今月に入ってロックダウン規制を相次いで強化するも、新型コロナの感染拡大に歯止めがかかっていません。
SA COVID UPDATE 20 JUNE
• Changes from yesterday highlighted
• 7 day average of new casesNew high for Gauteng cases again today – and these are weekend numbers. Not a great sign for the week ahead. pic.twitter.com/hRBd4nARCM
— sugan naidoo (@sugan2503) June 20, 2021
レベル3の規制内容は不十分 規制強化を求める声が相次ぐ
このような状況を受けて、特に感染拡大のホットスポットとなっているGauteng州において、より厳格な規制を導入する機運が高まっています。
まず6月18日(金)に、医療従事者団体The South Medical Association(Sama)が口火を切りました。
国営放送SABCに出演したDr Angelique Coetzeeは、「Gauteng州の病院で病床と酸素数の不足が生じている」としてロックダウン規制強化を提言。特に集会の制限と学校の閉鎖も含む人流抑制措置の導入が必要、と訴えました。
続けて21日(月)、David Makhura Gauteng州知事が“house is on fire”という言葉を用いて、新型コロナ感染拡大抑制のために喫緊の対策が必要との認識を共有。
翌22日(火)には、同州のCovid 19 Command Councilが会合を開き、州独自で規制強化を実施する可能性が議論されています。
これと時を同じくして、南ア最大の私立病院チェーンNetcare GroupのCEOがゲスト出演したラジオ番組にて「Gauteng州はロックダウンレベル5に置かれることが望ましい。学校も即時閉鎖すべき」と発言しました。
同CEOはまた、Gauteng州以外のにも第3波が訪れる可能性は高く、中でもWestern Cape州はGauteng州の3〜4週間遅れペースで感染拡大が進むだろう、との見通しを示しています。
経済との両立を狙うゆるやかな規制では限界か
実は、16日(水)から導入されたロックダウンレベル3は経済への影響を最小限に抑えたいとの思惑からか、比較的ゆるやかな内容です。
- 22時から翌4時までの外出禁止
- 酒の小売販売を月〜木の10〜18時のみ許可し、金〜日および祝日は禁止
- レストラン、バー等は21時で閉店。酒の提供は1週間を通じて可能
- 集会の上限人数を屋内50人、屋外100人に制限
- 公共の場でのマスク着用を義務化(レベル2から継続)
酒の小売販売こそ制限がかかりましたが、レストラン、バーに関しては曜日に関係なく21時までは通常通り酒の提供が可能です。
南アは冬が本格化し、冷え込む毎日です。寒さに強い南ア人もさすがにテラス席ではなく店内へ。通り越しに眺めた近所のパブのカウンター周りは、肩と肩が触れ合うレベルの混雑具合、ビールを片手にノーマスクで話が弾みます(飲食中はマスクを外してもOK)。
なお酒だけが悪者なのではなく、週末の朝などは、ランニングや自転車を終えた人たちがカフェの店内で、これまたノーマスクで密集している様子が散見されて心配です。
残念ながら、国民の理性ある行動あってこそ成り立つゆるやかな規制は、少なくとも僕の周りでは機能していないように見えます。
南ア人には寒さ知らずが多い。とはいえ、さすがにここ最近の寒波は少々堪えるか。カフェ店内に人が密集し、マスクなしで会話。感染拡大も頷ける。 pic.twitter.com/oDz9Ogh4nc
— アフリカ生活三年生 🇿🇦 (@kshr_jnb) June 8, 2021
また、基礎教育大臣が「Term 2の期間中は公立学校の閉鎖を行わない」と明言する一方で、複数の学校でクラスターが発生、やむを得ず学級閉鎖や学校閉鎖が行われています。
南ア政府は、2週間足らずで58万人の公立学校教職員に対してワクチン接種を行うという大胆な施策を発表しました。計画通りに接種が進めば教職員を介在しての感染拡大には一定の歯止めとなり得るでしょうが、果たして事がうまく運ぶかどうか。
自由な生活が望ましいことは言うまでもありませんが、今は規制強化が必要、と強く感じます。
ヨハネスブルグ、プレトリアでの規制強化は不可避か
昨年3〜4月に行われたレベル5(最高レベル)のいわゆるハードロックダウン時には、生活必需品の調達以外を除く外出禁止、散歩・犬の散歩・ジョギング全てNG、レストラン・テイクアウト・デリバリー、酒・タバコ販売禁止、国境封鎖という厳しい措置が取られました。
これら規制の中には新型コロナ対策として不必要なものもあり、また、経済への悪影響があまりにも大きすぎることから、さすがにこのままコピペはされないでしょう。しかし近日中、早ければ今週中にも、少なくともGauteng州では相当な規制強化があるだろう、と覚悟しています。
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