日経ビジネスOnline アフリカという「普通の市場」を読んで一言

Nairobi
日経ビジネスOnlineにアフリカ関連の記事が載っていました。さっそく読んでみたので、その感想を少しばかり。

まずは気になった部分の引用です。

「アフリカってどんなイメージ?」
現地取材と前後して、同僚たちや友人たちに聞いた。1番多かった答えは、
「24時間テレビで見たエチオピアの飢餓に喘ぐ子どもたちの姿」

かくいう私もその1人だった。子供時代に見た映像はセンセーショナルで、20年以上が経過した現在でも、脳裏にくっきりと焼き付いている。広大なサバンナで悠然と生きる野生動物。そして、出口のない貧困にあえぐ人たち。干ばつで農作物は育たず、食うに困る生活。子供たちは教育も受けられず、HIVが蔓延している。日本や欧米諸国による国際援助の対象であり、企業にとっては社会貢献の場である――。

まだ、アフリカに対してこうしたイメージを持っている人は少なくないだろう。私自身、頭では経済成長率がASEAN(東南アジア諸国連合)並に高いと理解していても、メーン市場はBOP(ベースオブピラミッド)だろうと暗に考えていた。だが、アフリカから戻ってきた今、そんな思いはどこかへ吹き飛んでしまった。

アフリカという「普通の市場」(公開終了)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20130411/246496/

「アフリカ=貧困」は過去のもの?

僕が気になったのは「干ばつで農作物は育たず、食うに困る生活。子供たちは教育も受けられず、HIVが蔓延している。」というアフリカの現実が山根さんから「吹き飛んでしまった」ということです。

記事に「ピンヒールで闊歩する黒人キャリアウーマンたち」という小見出しがあります。ケニアの首都、ナイロビで山根さんは確かにこういう姿を見たのでしょう。だからといって、貧困やHIV/エイズが「吹き飛んでしまった」と言われると「おいおい、ちょっと待ったー!」と叫びんでしまいそうです。だって、これらの問題は今なおアフリカに存在するのだから。それもかなりの規模で。

ナイロビだけで考えたとしても、ナイロビにはキベラスラムという超巨大スラム街があるのだから、意図的に見ないようにしない限り、「アフリカの現実」は目に入ってくるはず。記者の山根さんにとって初アフリカだそうなので仕方がないのかもしれないけれど、自分にとって都合がいいものだけを見てきたんじゃないかなぁという印象を受けました。

実はビジネスにも重要な貧困解決

もしかしたら、「日経ビジネスOnlineだから経済を中心に」ということなのかもしれません。でも、それならなおさら、貧困という現実にもしっかり目を向けた方がいいと僕は思うのです。

人材と市場。どちらもビジネスには欠かせないものだと思います。貧困解決の一環として教育水準の向上に取り組めば、有能な人材が増えます。収入が向上すれば、購買意欲も上がって市場が活性化します。こんな感じでいいサイクルが生まれるんだから、ビジネス的な観点からもアフリカの貧困を無視するのは本当にもったいないです。

また、お金持ちと貧乏人がはっきりとわかれる格差社会はビジネスにとってもいいことがありません。プール付きの豪邸に住む人がいる一方で、自分は一日三食満足に子ども食べさせることすらできない……そんな生活を営む人が大勢いれば、社会に対する怒りがいつか爆発します。僕が住んでいる南アフリカもそうですが、このような国や地域では犯罪などのリスクを回避するために、警備や安全のためのコストが大きくかかります。

日経ビジネスの5月27日号では「アフリカ 灼熱の10億人市場」という特集が組まれるそうです。僕は手にとって読むことができませんが、より幅広い視点が盛り込まれていることを期待しています。

Amazon.co.jp: ぼくは8歳、エイズで死んでいくぼくの話を聞いて。―南アフリカの570万人のHIV感染者と140万のエイズ孤児たち : 青木 美由紀: 本
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