いつまで続く? 南アフリカのロックダウン

6月1日にレベル3ロックダウンが始まり約3週間が経過。

6月18日にRamaphosa大統領はレベル3ロックダウンを維持しつつ、一部ビジネスの再開を認める緩和措置を発表しました。南アは言うなれば、レベル3ロックダウン liteに突入したという訳です。

レベル3ロックダウン liteの緩和内容をおおざっぱに言うと、いわゆる「3密」を回避する条件の元で、下記の再開を認めるというものです。

  • 飲食店
  • 美容室、床屋、ネイルサロン
  • 会議(ビジネス目的)
  • ビジネス目的の会議
  • 宿泊施設(Air BnBは対象外)
  • 映画館、劇場、カジノ
  • テニス、ゴルフ等の非接触スポーツ

詳細は一両日中に在南ア日本大使館が公表してくれるでしょうからそれを待つとして、果たしていつまで南アのロックダウンが続くのかを考えます。

初の感染者確認から100日 落ちない感染者拡大のペース

そもそもこのレベル3ロックダウンの緩和は、感染拡大ペースの鈍化を受けて行われた訳ではありません。

南アの新型コロナ感染者数は、記事執筆時点で87,715人(うち死者1,737人)。人口100万人あたりの感染者数は1,480人で米国(同6,941人)やブラジル(同4,887人)あるいはイタリア(同3,936人)にはmあだ遠いものの、ドイツ(同2,276人)やトルコ(同2,197人)の背中が見えてきました(ちなみに日本は同140人)。

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レベル4からレベル3への引き下げ以降、感染者増加ペースは衰えるどころか加速中。足元は特に、Joburgでの感染拡大が懸念されています。

Joburgの中では、CBDやSoweto、West Randといった人口過密かつ比較的貧困層が多く在住する地域がホットスポットになりつつあります。地域内での感染拡大はもちろん、これら地域はワーカーやメイド、庭師などの労働力供給地域であることから、Joburg市内に感染が拡大する可能性も否めません。

ロックダウンによって乗車定員の上限や感染予防対策実施が定められているとはいえ、公共交通機関であるミニバスタクシーはまさに3密空間。僕の近所では、どうしてもメイドが必要な家庭がUberや今は需要が少ない学校向けの送迎サービスを利用するなどミニバスタクシー以外の交通機関をアレンジする動きも見られますが、これはあくまでも一時的な動きでやがて元に戻るでしょう。

加えて、学校経由の感染拡大も懸念材料です。一部の学校が既に限定的に再開済、加えて7月から公立学校が段階的に再開されます。僕がPTAの一員を務める学校が取ったアンケートで、「子どもを学校に復帰される」と回答したのは全体の約6割強。南ア政府のロックダウン緩和決定とは裏腹に、慎重な姿勢が見て取れます。

主導権が政府から国民に それでも遠いロックダウン解除

このような状況下でロックダウンレベル3 liteが導入された背景の1つは、やはりこのままでは経済が持たないという判断が強く働いたということ、そして、形骸化しつつあるロックダウンレベル3の規制を現実に近づける、という意図があったのではないかと思います。

例えば、ロックダウンレベル3では州またぎの移動に特別な許可証の携行が求められていますが、ソーシャルメディアでは州境での検問が殆ど行われていない、との声が聞かれます。また、禁止されている美容室やネイルサロンに関しても、闇営業や訪問営業が数多く行われているとの報告があります。

南ア政府はこれまで厳密に規則を適用して、政府による強い管理体制を一貫して維持してきましたが、今回の追加緩和措置によって感染拡大防止の主導権が政府から国民へと一旦移ったといえます。このような方針転換を考慮すると、例えば感染拡大が続きながらもそのペースが一定に保たれる場合に、ロックダウンがレベル2に引き下げられるシナリオを想像できなくもありません。

ただし国境開放が伴うレベル1に関しては、話が別。空だけではなく陸、隣国のジンバブエ、モザンビーク、ナミビア、ボツワナ、レソト、スワジランドとの兼ね合い(南アから拡散しないという観点も含む)もあるため、実現は相当先になるように感じています。

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