学校再開を巡って状況が二転三転する日が続きます。
学校再開に向けて、丸1ヵ月 先生の献身と苦労
我が子が通う近所の公立学校では6月上旬から、Department of Basic Education(DBE)の指示に従って7月の学校再開に向けて準備を進めてきました。
準備はハード&ソフト両面で多岐にに渡ります。把握できているだけで、
- 子どもの体調モニタリングの仕組み導入
- Social distancingのためのマーキング
- 教室レイアウト変更
- 不足する部屋を補うためのMobile Classroom導入
- 手洗い場整備
- 飛沫防止グッズ購入&配布
- 子どもたちへのWelcome Backメッセージ作り
- 子どもたちの精神的サポートのための音声&ビデオメッセージ配信
- 必要な家庭へのFood Parcel提供
- カウンセラー紹介
など。見えない仕事も含めたら、リストはもっと長くなるでしょう。
これら準備と平行してYoutube等を活用しての遠隔学習サポートは継続。さらにはロックダウン初期に原因不明の出火で全焼したSchool Hall再建、年初から予定されていたスポーツ施設回収工事などが進んでいます。
加えて、基礎疾患を持つ先生の感染・重症化リスクを軽減するために担任の組み換えも実施。数人の先生はテレワークとなり、学校再開後もHome schoolingを選択する子どものサポートに回ります。この組み換えの結果、コンピュータの授業を受け持っていた先生が期間限定で子どもの新たな担任となりました。
洋の東西を問わず、学校の先生のマルチタスクっぷりには驚かされます。本当に、すごい。
待ちに待った小学0年生の通学が再開!と思った矢先に……
このような準備を経て7月6日(月)に、まずはGrade R(小学校0年生)が復学しました。
さて、あとは来週以降の他学年復学を待つばかり……といったタイミングでDBEから、他学年の復学を先延ばしにする通知が発表されたのです(Grade R以外では、11と12が復学済)。
新たに提案されたスケジュールは、最大で8月末まで復学を先送りとするというものでした。
- Grade 3、10: 7月20日(月)
- Grade 1、2: 7月27日(月)
- Grade 4、9: 8月17日(月)
- Grade 5、8: 8月31日(月)
……8月末!
なんでこんなことになってしまったのか?と同じPTAメンバーで自身が公立学校教員のお母さんに聞くと、
“It’s a total mess.”
とため息とも怒りとも取れる雰囲気で一言。
政府から現場に対する事前の頭出しはなし。来たものに対応するしかない状況で、先が全く見通せないことが大きな負担になっているそうです。親の立場からしても、DBEの決定から根拠が伝わってこないことが不満であり、不安です。
信頼に足る政府の判断であれば、まだ多少は納得感があるかもしれません。しかし、南ア国民の政府に対する信頼度は世界でも最低の水準(※1)。信頼ならぬ政府による根拠が見えない判断に対して、現場や親のフラストレーションが日に日に高まっています。
新型コロナウイルス感染拡大状況が必ずしも南ア全土で同一ではありません。また、アパルトヘイト下での二重教育システムの歴史故に、「公立学校」の傘に収まる学校の実情には非常に大きな開きがあります。全国一斉の再開日を厳密に定めるのではなく、リスクアセスメント基準を満たした場合には学校と保護者の判断で早期の開校も認めるというような多少の柔軟性を持たせる対応も検討できなかったのかと感じてしまいますが、色々あるのでしょう。
※1 2020 Edelman Trust Barometer: https://www.edelman.com/trustbarometer
我が子を送り出すか、否か
それでもまだ救われるのは、先生たちが再開に向けてベストを尽くし続けてくれていることです。
校長先生曰く、再開初日に登校してきたGrade Rの人数は全体の約半分だったとか。学校再開に向けた準備、政府との調整でさぞお疲れだと思いますが、
“It was a really great moment to welcome our students at school again.”
と嬉しそうに(やや感慨深げに)一言。情熱と実務能力を持ったリーダーに対して、いち親としては感謝しかありません。
これから自らの課題として降り掛かってくるのは、仮に学校が再開されたとして我が子を学校に送り出すか、否か。Gauteng州での感染拡大ペースは衰える兆しが見られず、Private Hospitalの医師から「ベッドが足りない」と悲痛な声が聞かれます。
さて。判断が迫られます。
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