この記事にも書いたように、南アフリカでは、ゼノフォビア(外国人排斥)が社会を揺るがせています。一連の暴動によって、これまでに7人が死亡、5000人以上が避難生活を送り、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの援助機関が支援を行うほどです。
暴動による死者を初めて出した東部ダーバンでは今、何が起きているのでしょうか。朝日新聞アフリカ特派員の三浦英之氏によるツイートをまとめました。
シャッターが下りた移民地区 警官が配備され街は限界体制に
① アパルトヘイト(人種隔離)政策を克服した南アフリカで、近隣諸国からの移民の排斥を目的とした暴動(ゼノフォビア)が止まらない。これまでに7人が死亡、5千人以上が住む家を追われた。暴動の発端となった東部ダーバンに入った pic.twitter.com/yMjInZajxN
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
②ダーバンは人口の3分の1が不法移民だと言われ、南アでも特に移民の割合が高いエリアだ。移民地区ではすべての店のシャッターが下ろされ、周囲で南アの若者たちが「移民は出ていけ」と叫んでいた。随所にパトカーが配備され、町は厳戒態勢下にある pic.twitter.com/6Md7ACmiJV
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
③ 避難キャンプには3千人の移民が身を寄せていた。大型テントには家財道具が山と積まれている。モザンビーク出身の移民は「夜中に窓を割られ、銃を持って乗り込んできた若者に『ここはお前らの国じゃない』と蹴られ、テレビや鏡を盗まれた」 pic.twitter.com/1Tk5P3hQnZ
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
生活苦の理由を移民に求める一部の若者たち 最大民族の「王」がこれを煽った
④ モザンビークやマラウイなどの近隣諸国は自国民の救出に乗り出している。政府が準備したバスが到着すると人々が殺到。千数百人が南アから脱出する予定だ。「安全への逃避」さながらの光景。マンデラの国で何が起きているのか pic.twitter.com/rB0i2ABh7k
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
⑤ 暴動のきっかけは「王」の演説だった。最大部族ズールー族の王が先月、移民を「シラミ」に例えた上で、「犯罪率や失業率の高さは移民が原因。南アから出ていけ」と演説。若者たちが沸騰し、移民の商店を襲って商品を奪い、移民宅に火をつけ始めた pic.twitter.com/ZHFRJoFT3G
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
⑥ 根底には若者たちが抱える社会への不満がある。南アでは1日に47人が殺人事件で殺される。失業率は24%だが、求職を放棄している人を含めると50%近いと言われている pic.twitter.com/V3LU8lDMI4
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
⑦ 白人と黒人の年収は6倍。超えられない格差を人々は暴力で乗り越えようとする。世界最悪の犯罪大国。ここに移民が入り込んできた。南ア人の半分の給料で働く。民衆は「不法移民が職を奪っている」と誤解している pic.twitter.com/FCjev7MbHz
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
外国人排斥は不満を吐き出すための「弱いものいじめ」
⑧ 資源安などで経済が停滞し、雇用も治安も悪化している。不満のはけ口が今回は最も弱い移民に向けられた。一連の構図は日本と似ていなくもない。対話を拒否し、弱者に向かって「国から出て行け」とヘイトスピーチを繰り返している pic.twitter.com/ZjUugk32Sh
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
⑨ 一方で大多数の南ア人はゼノフォビアに「ノー」を突きつけている。23日には最大都市ヨハネスブルクで3万人がデモ行進。「マンデラが泣いている」とプラカードを掲げて移民への暴力反対を訴えた pic.twitter.com/Nk42GtW4GC
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
⑩ 多民族の融和をめざし、「虹の国」を自称してきた南アだけに残念でならない。私も南アに拠点を置くが、最近経済の悪化で停電や犯罪が急増している。政府は軍を投入して抑え込んでいるが、国民の不満は今後も収まらないような気がしている(終) pic.twitter.com/bcGAw1zegp
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2015, 4月 25
この記事を書いた4月27日は、1994年の同日に初めて全人種参加の民主的な選挙が行われたことを記念する祝日、フリーダム・デーです。
民主化を勝ち取った頃の理想を今一度思い出して、南アフリカが真の「虹の国」へと近づくことを願ってやみません。
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