【書評】南アフリカを知るための60章 (エリア・スタディーズ79)(明石書店)

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南アフリカ共和国(南ア)に興味を持った人にまずオススメしたい一冊です。歴史、政治、経済、社会、文化、国際関係の各分野が60章にまとめられています。

本書の魅力の一つは、多様な執筆者陣です。学者や研究者に加えて、新聞記者、NGO関係者も筆を寄せています。編著者の峯陽一氏が「執筆者によって南ア観は異なる。それらの矛盾を隠す編集作業はあえて行わなかった」という趣旨のことを述べている通り、本書にはそれぞれの執筆者の南ア観がむきだしになっています。自分はどれに共感する/しないのかを考えながら読み進めると面白いです。

僕がもっとも知りたかったアパルトヘイトについては、歴史および政治の部で触れられていました。反アパルトヘイト運動に関する主要な歴史的事件や思想、体制の変遷についてはひと通り網羅されているように思えます。

一方で、アパルトヘイト下における人々の生々しい生活や声については、残念ながら記述があまり見られませんでした。他の書籍を併せて読むのがいいと思います。僕には、「おまえの影を消せ―南アフリカ 時の動きの中で」(1986年ピューリッツァー賞総合ノンフィクション部門受賞)が参考になりました。黒人だけではなくアフリカーナーの心情にも迫る、読み応えのある一冊です。

社会については犯罪、社会保障、医療問題、土地返還運動、タウンシップでの生活など様々な事柄が取り上げられています。ただし、国全体あるいは都市に関するものが中心で田舎に関する記述は少ないです。限られた紙面では難しかったのかもしれないが、教育や雇用など、田舎の現状と課題についても言及があるとなおよかったのではないかと思いました。例えば、一口に「タウンシップ」と言ってもソウェトと地方のタウンシップを比べてみると、実態は大きく異なりますので。

もちろん、本書に書かれていることが南アの全てではありません。実際に足を運んでみたり、人に話を聞いたり、さらに読書を進めたりしてこそ、より理解が深まるのだと思います。執筆者陣による本書以外の著書や研究成果読むことは一つの方法でしょう。また、日本語文献だけでも70冊以上(!)を紹介している巻末の読書案内も、読書の道しるべとなることうけあいです。

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