南アフリカでゼノフォビア(外国人排斥)が急拡大 ヨハネスブルグとダーバンで死者7人

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南アフリカでは今、ゼノフォビア(外国人排斥)が大変な問題となっています。

画像はTimes Liveのスクリーンショット:How many more have to die before we talk about why: iLIVE

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なぜ、外国人排斥が起きているのか

ゼノフォビアの背景を一言で表すならば、「社会に対する不満」が適当でしょう。

南アは長いアパルトヘイト時代を経て、1994年に民主化されました。しかし、民主化から20年以上が経った健在でも、富裕層と貧困層の格差はなかなか縮まりません。失業率は高い水準で推移し(公式には25%前後。ただし実質40%とも)、水や電気、教育、医療などの社会サービスが十分に提供されない地域も多く存在します。

「外国人が南アに犯罪を持ち込んでいる」

「外国人が自分たちの仕事を奪っている」

「外国人を追い出せば、南アはもっといい国になる」

「外国人のせいで、自分たちが民主化の恩恵を受けられていない」

このように「問題の元凶は外国人にある」と考える、あるいは、不満のはけ口を探している一部の南ア人が過激化して、主に南アの周辺国などアフリカ諸国からの移民が経営する商店を襲っています。

死者も発生 止まらない外国人への攻撃

外国人排斥の状況は日に日に悪化しています。2015年に入ってから現在までの主な出来事を順に見てみます。

ソウェトで外国人経営の商店が襲撃される

Police officers stroll away from a crowd looting a shop in White City, Soweto yesterday. In an official statement, the…

Posted by Times LIVE on 2015年1月23日

まず大きな注目を集めたのは、1月にヨハネスブルグ(Johannesburg)郊外のタウンシップ、ソウェト(Soweto)での出来事です。少年らによる略奪グループが外国人経営の小規模商店を襲撃する中で、ソマリア人商店主が身を守るために略奪グループに対して銃を発砲。略奪グループの1人である14歳の南ア人少年が死亡したことを受けて、騒ぎがより大きくなりました。

ズールー族の王による黙認発言

3月には、特にクワズールー・ナタール州(KwaZulu-Natal)で影響力を持つズールー族の王が外国人排斥を黙認するかのような発言を行いました(王はその後、メディアによる誤訳であると釈明。ただし、ゼノフォビアを止めるべきという積極的な発言はまだ見られない)。

その後、同州最大の都市ダーバン(Durban)近郊では南ア人による襲撃によって死傷者が発生するなど、移民や外国人を排斥する動きが拡大。現在でも数千人が一時的な避難生活を送っています。

ダーバン、ヨハネスブルグで高まる緊張感

Yes, the #saynotoxenophobia tweets are great, but they won't make a difference http://bit.ly/1OADupG

Posted by Times LIVE on 2015年4月15日

4月に入り、14日にはダーバンの中心部で外国人排斥を求める地元住民による外国人経営の商店への略奪行為、また、これを取り締まる警察官との衝突が発生。飛び火を恐れてダーバンだけではなく、ヨハネスブルグでも外国人商店経営者たちが翌15日に商店を閉鎖するなど緊張感が高まりました。

その後、ダーバンでは18日までに少なくとも6人が死亡。また、ヨハネスブルグでも中心部(ダウンタウン)が16日は一時的に閉鎖され(17日に復旧)、17、18日には移民や外国人が居住するビルや商店などが襲われ、車が燃やされています。

Three men to appear in court over Mozambican national Emmanuel Sithole’s killinghttp://www.sowetanlive.co.za/news/2015/04/20/three-men-to-appear.-in-court-over-sitholes-murder

Posted by Sowetan LIVE on 2015年4月20日

また18日朝には、ヨハネスブルグ郊外で日本企業も多く事務所を構えるサントン(Sandton)地区に隣接するタウンシップ、アレクサンドラ(Alexandra)にて、モザンビーク国籍の男性が殺害されるという事件が発生しました。

不買運動や音楽のボイコット 拒絶される南アフリカ

このような事態に対して、外国人排斥の被害を受けている周辺諸国がリアクションを取り始めました。

いわば、諸外国が南アに「NO」を突きつけ始めたのです。

●ジンバブエ

有志が南ア商品やサービスの不買運動を開始。同国は、国民の200万人前後が出稼ぎに出ていると言われるほど、南アと密接な関係にある。

●モザンビーク

ムプマランガ(Mpumalanga )州との国境付近で南ア国籍のトラックの通行を妨害する運動を有志が実施。トラックに対して実際に投石がなされたとの報告も。

●ザンビア

ラジオ局が南ア音楽をボイコット。

今までに報道を確認したのはこの3ヵ国だけですが、マラウイ、コンゴ民主共和国、エチオピア、ソマリアなどのアフリカ諸国や、パキスタン、中国などの出身者もゼノフォビアの被害を受けており、ボイコットなどの運動が他国に広がることは十分に予想されます。

悲しい歴史は繰り返されてしまうのか

南アはかつてアパルトヘイト中に、国際社会で孤立した経験を持ちます。

国際社会からの非難を無視してアパルトヘイトを継続した南アは、世界各国での不買運動や経済制裁、オリンピック、ワールドカップなどへの参加禁止など、さまざまな形で世界から締め出されたのです。

「移民だから、外国人だから」という不条理な理由で人々を攻撃する現在の排斥行為は、歴史から学ぶことなく、過去と同様の誤ちの繰り返しているように見えます。

あらゆる人々が共存する「虹の国」 マンデラ氏の理想はどこへ

1994年の民主化以降、現在に至るまで政権与党を務めているアフリカ民族会議(ANC)は、アパルトヘイトのない民主的な南アを求める運動を引っ張ってきた組織です。

「肌の色に関係なく、あらゆる人々が共存する虹の国をつくろう」。ANCの中心人物の1人であり、民主化後の初代南ア大統領を務めたネルソン・マンデラ氏は新生南アフリカの誕生に際して、すべての人々に対してさまざまな違いを超えた融和を呼びかけました。

しかし残念なことに、拡大する外国人排斥に対して政府は有効な手立てをまだ講じられていません(これがANCの現状と言えばそれまでなのですが)。

マンデラ氏が2013年12月に95歳で死去してから2年と経たないうちに、「虹の国」の理想は人々から忘れ去られてしまったのでしょうか。

※この記事は「地球の歩き方特派員ブログ」への投稿に加筆したものです。
http://tokuhain.arukikata.co.jp/johannesburg/

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